財団について

設立の趣意

株式会社カワニシホールディングスの「社員憲章」に記載されている基本精神を抜粋すると、以下二つの理念で示されます。 『広く国家・社会的視野において公益性を高め、国民医療の品質向上に寄与する』
『人材の育成・教育を通じて、医療の有益性を増進し、業界のレベル向上に寄与する』
それに加えて、わが国医学の継続的向上・発展にとって不可欠の要件は、おそらく最先端医療技術の普及であります。
ただ、そのためには、個々の医学研究者(医療技術者)が、最先端の知識、研究、臨床経験をマスター(習得)する必要があります。
しかしながら現状では、必ずしも十分な環境が整っているとは申せません。
そこで寺岡記念育英会は、微力ながら、以下3つの活動を通じて≪医療の発展≫ と ≪最先端技術の普及≫ に寄与するよう努めていきたいと考えております。

1
医学研究者に対する「研究費」の助成を行うこと
2
海外技術を学ぶため「留学費」の一部支援を行うこと
3
大学等との協議を経て、医療技術者が先端医療技術を習得できる「研修施設」を企画開設すること

財団名の由来

創立者 寺岡清照氏
創立者 寺岡清照氏
当法人は、1921(大正10)年に、川西器械店を創業した『寺岡清照』氏の名前からとっております。

寺岡清照氏は、20歳のとき株式会社カワニシホールディングスの前身である川西器械店を創業します。当時はまだ個人商店でありながら、日本で初めて開催された医療機器の展示会「医科器械学会」(大正13年4月1~3日)に、有名病院や当時すでに名を成していた機器店、製作所と並んで展示するなど、進取の気性に富んだ人物でありました。

また清照氏は、「川西器械店商道六か条」として、商業人としての守るべき道、商業上の道徳を次のように掲げました。

1.約束した期日の器材を納入する
2.遅れる場合は事前に連絡し、代わりの納入日を明示する
3.お叱り、苦情には誠心誠意を尽くす
4.国産品の品質向上に努力する
5.粗悪品は扱わないようにする
6.店員の教育に力を注ぐ

誠実で、どちらかというと商売についてあっさりしているところがあった清照氏の人柄を、ある医師は次のようなエピソードで語っています。

私は開業するとき、ついつい人を信用したばかりに、だまされて、必要な資金が調達できなかったんです。当時川西さんに、支払いできない訳を話したところ『先生、そんなことはもう、できたときでいいですから』という返事だったので、私はこういうふうにお願いした。
「必要な器械は、前もってお願いしておいて、それを半年か一年以内には買うけれども、開業のとき一度に持って来てもらわんでもいい。それをこちらが必要なときに持って来てください。そして、その都度お支払いしたい」。
川西さんはそれを笑って快諾してくれた。『どうぞ、お使いください』と。
当時困っていた私としては非常に感激し、また感銘を受けた。
その後もよくお会いしたが、川西さんはそのことを一言も言われない。普通は多少威張るものだけどね。私のほうは、いっそう申し訳ないという思いがつのり、できるだけ早くお返しした。これは、いまだに忘れられない思い出です。

真心をもってお客様と向き合ってきた清照氏の意志を継ぎ、当法人も医学の発展にわずかでも貢献すべく、活動してまいります。